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2009.10.21 (Wed)

天国、或る男の一生 1

西洋風の大広間で、王座に頬杖をつき、

もう片方の手には

王座の隣に仕える黒ゴスから手渡された反ぴらの人生報告書。

そう、俺の人生報告書。

黒のドレスと、それを対照的に真っ白な両足を組み、黒の高いヒール。

あれが世に言う閻魔というのか?とても閻魔とは思えぬ美貌。

細い足のつま先を、つまらなさそうに揺らしながら

ぺらっぺらの一枚の報告書に軽く目を通す。

読み終えた閻魔様は、ひざまづく俺に、

「お前を天国永住権を与える。天国では秋野 空男と名乗るが良い。」

もっと、もっと良い名は思いつかなかっただろうかと正直、正直思った。


あれから時は経ち、今日は天国生活2年目の秋。

皆の思う天国とは違い、単なる第二の人生。現世となんら変わらぬ世界。

本日で26歳。俺、元気。


さぁ、今日も出勤。

ボロアパートの一階の一室。

畳に日が差して部屋に舞うホコリに乱反射する。

第一掃除はだるい。

詰まらぬ女の行方が分からなくなってから部屋の景色は全く変わっていない。

ぐしゃぐしゃのシャツ、ネクタイ。

それらが乱雑なままソファーと言う名の物置に積まれている。

洗濯は近所のコインランドリー。

それも詰まらぬ女が全てやっていたのだな。今気が付いた。

俺が旅行を行かないといっただけでひどく腹を立て、

数日後にはどこかへ行方を眩ました詰まらぬ女。


寝癖の髪を一様にまとめる。身だしなみぐらいはまともに。

ようやく外見の自分、完成。

ボロアパートのドアも、いかんせんボロい。

良き所を強いて言うなら、ドアを明けた瞬間の、この、、、

「キンモクセイの香るアパートの敷地ぐらいだろうか。」

さぁ、コンクリートのジャングルの中へ、出勤。


この世での業種は、天国行きの手続きの際に勝手に決まってしまうようで

俺に与えられた業種は、天国某コンビニ店の正社員。

現在、近くに出来た100アガペー均一店、通称100均に押され気味である。

この世の金は、全世界共通と言うことで、アガペーを通貨としている。

そんななか、それなりに仕事に慣れた今日この頃。

まぁ、生前は親の金をせびって怠惰な生活を送っていた事もあってか

正直始めはつらいと思った。

俺の働く姿を見て、現世の両親は微笑んでいるのだろうか。


裏口到着。

今日も事務室には足を組んで事務椅子に座り、必死にメイクをする女

このオバハンの名は神野園真理子。俺の上司である。

裏では嫌みを言うオバハン。

当店の店主、神野園首肯の妻。最近倦怠期らしい。

バイトのギャルと張り合うのは止めなさいよ。

俺の挨拶に「う、おはよ。」と素っ気のない返事。

いくら部下とはいえ、化粧しながら無愛想な挨拶をするなオバハン

という言葉が喉から出そうなのを堪えるのが日常。


制服に着替えて店へ。

客の前でエロ本を読む馬鹿野郎は店長の神野園首肯。

という悪口はどうかご内密に。

首肯の隣で必死に商品を並べるのは、同僚の湯田逆男。

きまじめで物静か。この店の店員にしては浮いた存在。

湯田と俺がこの店を支えていると言っても過言ではない。

だが正直、あの眼鏡の向こうで何を考えているのか分からないのが薄気味悪い。

まぁ、黙々と働く彼の姿は見習うべき姿なのは確かである。


しかし、このままでは100均に負けるのではないかと思う。

100均店内は活気溢れる。爽やかな接客。俺も見習いたいほどの質の良さ。

しかし100均は100均。

こちらは食材では劣るので、雑誌等を武器にしているつもりだが、

客も店長が堂々と雑誌を読んでいるせいか、雑誌コーナーの入りが悪い。

全く馬鹿なコンビニである。当然売り上げも悪い。

しまいには馬鹿店長に俺と湯田を解雇するのではないかと焦っている。

あの店長は、俺らのおかげで店が保たれていることを知らぬ。


そんな中、仕入れのトラックがやってくる。

湯田は忙しいそうだったので、俺が応対する。

外はどことなく寒い。街路樹もやる気が感じられない。

こんな朝でも人通りは多い。場所は良いんだよ。この店は。


まさか、こんな情景が映るとは…。

眼前に広がるのは、この店の終わりを告げる光景。

日光に反射するトラックから出てきた積み荷、

おびただしい数の焼けた小麦色の球体が運ばれてきた…。
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20:35  |  非日記な駄作集  |  トラックバック(0)  |  コメント(1)

Comment

僕と閻魔のベッドシーンはまだですか?
みっしん |  2009.10.22(木) 02:32 | URL |  【編集】

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